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酪農の仕事内容とは?年間スケジュールや向いている人・向いていない人の特徴も解説

酪農の仕事内容とは?スケジュール例や向いている人・向いていない人の特徴も解説

「酪農の仕事内容を詳しく知りたい」
「酪農業を始めてから後悔しないようにしたい」

このようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、酪農業の仕事内容や一日のスケジュール、向いている人・向いていない人の特徴について解説します。

酪農の仕事内容を詳しく知りたい方や、後悔のないかたちで酪農業を始めたい方は、ぜひ最後までご一読ください。

酪農の仕事内容とは

酪農の仕事内容とは

酪農の仕事内容は、おおまかに以下の6つのように分類されます。

・搾乳
・エサやり・哺育
・乳牛の体調管理
・乳牛の人工授精・出産
・牛舎の清掃・わらの入れ替え
・牧草の栽培、飼料づくり

これから一つひとつ、酪農業の一連の流れを理解していきましょう。それでは解説していきます。

搾乳

搾乳は、酪農業のメインとなる仕事のひとつです。搾乳は、1日に2~3回に分けておこないます。

最近は、パイプラインミルカーを使った方式やミルキングパーラー方式、搾乳をロボット化する農家も増えてきています。

ここでは、手作業で搾乳をする場合の流れをみていきましょう。

1.搾乳に使う道具を牛舎内に用意する
2.牛の乳頭を殺菌剤で消毒する
3.本搾りをする前に前搾りをする
4.再度、牛の乳頭を殺菌剤で消毒する
5.ミルカーを牛の乳頭に取り付ける
6.搾り終えたら乳頭を殺菌剤入りの液に浸して保護する
7.作業終了後、ミルカーを掃除し、洗浄・殺菌消毒して保管する

なお「前搾り」は、乳頭内に残っている細菌数の高い牛乳を除去するのが目的です。あくまで本搾りをする前の確認なので、もちろん出荷はしません。

このように、ただ機械的に生乳を搾るのではなく、一つひとつの工程を丁寧に進めていくことが搾乳のポイントです。

エサやり・哺育

牛を飼育するうえで、毎日のエサやりも欠かせない作業のひとつです。

牛が毎日規則正しく食事ができるように、早朝からエサの準備を始めていきます。準備する飼料を準備するときは、種類は、牛の年齢や体調に合わせて適切な種類を選ぶのがポイントです。

たとえば、子牛の場合は45℃ほどに温めた子牛専用の代用乳を与えます。大人の牛の場合は、1日あたり15キログラムほどの干草と60〜80リットルの水を準備します。

牛がエサをモリモリと食べてくれるシーンは、酪農家にとって嬉しくもあり、愛着が湧く瞬間でもあるでしょう。

乳牛の体調管理

エサやりや搾乳の際などに、何か変わった様子はないか牛たちを観察するのも大切な仕事です。万が一、牛に体調不良の症状がみられれば、獣医師に相談のうえ、処置を進めていきます。

また、獣医師による健康状態チェックを定期的に設けるのも重要です。牛の健康状態は、生乳の質や乳量、繁殖率などに直結するので、酪農家は日頃から牛と向き合い、健康状態を漏れなく把握する必要があるのです。

いわば、酪農家はある種の獣医としての役割も担っているといえるでしょう。

乳牛の人工授精・出産

乳牛の繁殖は、酪農業を継続させていくうえで欠かせない業務です。牛は季節に関係なく、21日間隔で発情を繰り返すので、発情の兆候を見逃さないことが大切です。

繁殖をさせるときは、雄畜から採取した精液を人工的に雌畜の生殖器管内に注入させます。獣医師の指導に沿って進めていきますが、「家畜人工授精師」という国家資格があれば、酪農家自らが対応できます。

人工受精後、9ヶ月半ほどの妊娠期間を経て出産を迎えます。牛が無事に出産を終えられるように、お産に立ち会うのも大切な仕事です。

牛舎の清掃・わらの入れ替え

牛舎を清潔に保つことは、牛の健康維持において不可欠です。牛舎を綺麗に保つために、牛舎の清掃や糞尿の処理、床の洗い流しなどは毎日欠かせません。

また、牛が寝転ぶための敷料である「藁」を定期的に交換するのも重要な作業です。他にも、夏場は牛舎内の温度上昇を防ぐために、換気扇を回して水撒きをおこなうなどの対策も必要です。

非常に手間がかかりますが、牛にとってストレスフリーで快適な環境を整えるうえで、いずれも疎かにしてはならない工程といえるでしょう。

牧草の栽培、飼料づくり

酪農家は、生乳の品質をよりよいものにするために、牧草の栽培や飼料の調達などもおこないます。

牧草を栽培するための業務は、土壌の管理や肥料の散布、収穫などと多岐にわたります。

なお、飼料においては、デンプン質が豊富なデントコーンと呼ばれるトウモロコシや小麦、大麦などが用いられています。一方で、最近はデントコーンの価格が高騰しており、多くの酪農家が頭を悩ませています。

良質な生乳を生産するうえで、飼料の質を下げるのは決して正解ではないからこそ、物価高騰は酪農業の大きな課題といえるでしょう。

酪農家と畜産農家の違い

酪農家と畜産農家の違いについてわかりづらい部分もありますので、簡単に説明すると、まず「畜産」とは、牛や豚、鶏、羊などの家畜を飼育し、肉や卵、乳などを生産する農業です。一方、牛を飼育し、チーズやヨーグルトなどの乳製品の主成分となる生乳を生産する農業を「酪農」といいます。

簡単にまとめると、「酪農家」は生乳や乳製品の生産に特化している農家だといえます。

酪農家の1日のスケジュール例

酪農家の1日のスケジュール例

酪農家は具体的にどんなスケジュールを送っているのか、気になる方もいるでしょう。

以下では、酪農家の一般的なスケジュールをまとめました。

時間 仕事内容
5:00~9:00 牛舎の清掃、エサやり、搾乳
9:00~10:00 朝食
10:00~17:00 畑仕事(その間に昼食)
17:00~18:00 夕食
18:00~21:00 エサやり、エサ作り、牛舎の掃除、獣医師への対応など
21:00 作業終了

農場によっては、2交替のシフト制をとるケースもあるので、朝から晩までの通し業務をおこなわない場合もあります。

ただし勤務形態にかかわらず、牛が病気になった時やお産を迎えた時は、深夜でも牛のケアをするために駆けつけなければなりません。このように、酪農家のスケジュールは牛の生活を第一としたものであることがお分かりいただけたかと思います。

次の項目では、別の視点から酪農業について理解を深めていきましょう。

一般的な酪農の1年間の流れ

ここでは、一般的な酪農業の1年間の流れについて解説します。

酪農業は、季節ごとの天候の変化に合わせて進めていく仕事なので、四季に応じて仕事内容も大きく変化するのです。それでは、詳しくみていきましょう。

4月下旬〜5月

この時期は、牧草地を覆っていた雪が溶けて、トラクターでの肥料散布が始まるタイミングです。肥料を散布するときは、牛を放牧するための牧柵を整備するところから始めていきます。

放牧するときに天敵となるのが、牧草を勝手に食べてしまう牛以外の動物です。例として、北海道では「蝦夷シカ」というシカが牧草を食べてしまうことが問題となりました。

その対策として、被害が大きかった牧場では、蝦夷シカの侵入を防ぐために「鹿柵」と呼ばれる柵が整備されました。

このように、酪農家は牛以外の動物による食害を防ぐための対策も担っているのです。

6月

6月頃になるとようやく牧草が広がり、牛たちが待ちに待った放牧が始まります。ただし、中には搾乳をロボット化し、牛舎の中だけで乳牛を飼養している牧場も存在します。

牛の育て方は、牧場の経営方針によってさまざまな方法があるといえるでしょう。

6月〜7月

初夏は、春に肥料散布した畑で牧草収穫がスタートする、1年で一番忙しい農繁期です。収穫した牧草は、牧草ロールや細かく刻んでサイレージにして牛に給餌します。

この時期に収穫する牧草が、むこう1年間の生乳の品質を大きく左右するので、もっとも気を張るべき重要な時期ともいえます。なお、この時期に収穫する牧草は「1番草」と呼ばれます。1番草を収穫した後は追肥作業し、秋におこなう2番草の収穫に備えます。

9月〜10月

9月には、初夏に追肥をした2番草の収穫が始まります。中旬には2番草の収穫も終了するので、年内における牧草の収穫は、この時期に一旦区切りとなります。

なお、この時期は「デントコーン」と呼ばれる、飼料用トウモロコシの収穫もおこないます。収穫したデントコーンは、サイロという飼料調整施設へ運び、発酵させて牛の飼料として加工します。

デントコーンの収穫のために、昼夜大きなトラクターが畑を走りまわる光景は、この季節の風物詩といえるでしょう。

11月〜12月

雪が降り始めるこの時期は、放牧を終了させるために牛を牛舎に移動させるタイミングです。

もちろん毎日の搾乳作業や牛舎の掃除、牛の体調チェックは変わらずおこないますが、牧草地の管理ができないので、1年間でもっとも落ち着いた時期となります。

なお外の業務が少ない分、この時期は年間の事業計画を立てることに時間を使う農家も多いようです。

雪が降り積もる景色を窓辺からながめながら、ゆっくりと翌年の見通しを立てる機会は、酪農家にとって大事な時間といえるでしょう。

酪農家に向いている人の特徴

酪農家に向いている人の特徴

酪農家に向いている人には、いくつか共通している特徴があります。具体的には、以下のとおりです。

・動物が好き
・体力に自信がある
・自己管理ができる
・観察力に自信がある
・粘り強く取り組める

あなたが酪農家に向いているかを判断するために、ぜひ参考にしてみてください。それでは解説を進めます。

動物が好き

酪農家になるために一番必要となる要素は、動物が好きということです。

酪農業は、牛の世話が中心となります。毎日、牛の健康状態を観察し、餌やりや搾乳、牛舎の掃除をしながら、牛と密にコミュニケーションを取ることが求められます。

つまり、ほぼ一日中牛と一緒に過ごすので、動物が嫌いだったら仕事がままならず、ストレスを感じてしまうでしょう。動物好きであれば、自然と喜びややりがいを感じられるでしょう。

いわば、動物が好きであればあるほど、酪農業は天職になり得るといえます。

体力に自信がある

酪農のほとんどはルーティンワークではありますが、決して誰にでもできる仕事ではありません。なぜなら、酪農業は非常に多くの体力を費やすハードワークだからです。

酪農業では、牛の世話、搾乳、飼料の準備など、体を使う作業を毎日繰り返します。たとえば、重い飼料を運んだり、牛舎の清掃をおこなったりするなど、体力的な負荷が大きい作業も少なくありません。

また、真夏や真冬などの暑さ・寒さが厳しい季節は、より多くの体力が消費されるので、体力がなければ成り立たないでしょう。

そのため、体力に自信がある方や体を動かすことが好きな方でなければ、厳しい仕事だといえます。

自己管理ができる

酪農家には、体調管理やスケジュール管理をしっかりとおこなえる自己管理能力が求められます。

酪農業の中心は牛の世話をすることなので、早朝や深夜の作業も当たり前のように発生します。搾乳のために毎朝5時頃に起きなければなりませんし、お産を迎えた際は、深夜から朝まで牛に付きっきりになるのも珍しくありません。

また、自分の体調が悪くても、牛の世話を休むことはできないのも酪農業の大変なところです。そのため、自己管理能力が高く、責任感を持って仕事に取り組める方が酪農家に向いています。

観察力に自信がある

牛がいつでも良質な生乳をつくれるように、牛の健康管理を徹底するのも酪農家の大事な仕事です。

動物は、人間のように言葉を発することができません。だからこそ、牛の表情や動作、食欲の変動、糞尿の状態など、さまざまなサインに目を配る必要があります。

たとえば、牛がいつもと違った様子をしていることに気づければ、病気の早期発見につながる場合もあります。観察力に自信のある方は、酪農家に必要な資質を備えているといえるでしょう。

粘り強く取り組める

酪農家には、粘り強く仕事に取り組む姿勢も求められます。

酪農業とは、毎日早朝から夜遅くまで、365日休みなく牛と向き合う仕事です。もし、台風などの悪天候に見舞われたとしても、休むことなく決められたルーティンワークをこなさなければなりません。

また、牛は人間の思い通りに動いてくれるわけではないので、時として意思疎通ができない歯痒さを感じる瞬間もあるでしょう。

そんな時でも、自分の責務を全うするために、粘り強く仕事に取り組む姿勢が酪農家には求められるのです。

酪農家に向いていない人の特徴

続いて、酪農家に向いていない人の特徴について解説します。具体的には以下のとおりです。

・動物が嫌い
・体力に自信がない
・自己管理が苦手
・細かく物事を見れない
・忍耐強く取り組めない

これらの要素に多く当てはまっている場合は、あなたはひょっとしたら酪農家には向いていないかもしれません。一つひとつみていきましょう。

動物が嫌い

動物が嫌いな方は、酪農家には向いていない可能性が高いです。

酪農業は牛の世話が中心となる仕事なので、毎日ほぼ一日中、牛と一緒に過ごします。たとえば、搾乳の際に牛に触れたり、病気の牛の治療をしたりする必要があります。

もし、動物に対して恐怖心や嫌悪感を持っている場合は、酪農の仕事はストレスが大きく、長く続けることは難しいかもしれません。

体力に自信がない

体力に自信がない方は、酪農家に向いていないかもしれません。

酪農業は、搾乳や飼料の準備、牛舎の清掃などを朝から晩までおこないます。これらは体力勝負なので、人並み以上の体力がなければこなせない仕事といっても過言ではありません。

また、これらの業務は毎日のルーティンワークなので、その日を無事に乗り切れたとしても、翌日も再び同じ業務をこなさなければなりません。

自分の体力のキャパシティーに見合わない仕事をするのは誰にとってもキツいことでしょう。

そのため、体力に自信がない方は、酪農の仕事を続けていくのは厳しいかもしれません。

自己管理が苦手

次に解説する酪農家に向いていない人の特徴は、自己管理が苦手なことです。

「自己管理ができる人」の項目でも解説したように、酪農家は毎日規則正しい時間に起き、牛の世話をします。

牛から良質な生乳を絞れるかどうかは、酪農家の手にかかっているので、どれだけ体調が悪くても天候が荒れていても、牛の世話を休むことはできません。

もし、毎日夜更かしをしたりお酒を飲みすぎたりして、自己管理を疎かにしてしまうと、仕事に支障が生じるリスクが飛躍します。そのため、自己管理ができない人は、酪農家としての務めを果たせない可能性が高いでしょう。

細かく物事を見れない

状況の小さな変化や違和感などに気づけない方も、酪農家には向いていないでしょう。

酪農における重要な仕事として挙げられるのが、牛の体調管理を徹底することです。たとえば、牛がいつもより少し元気がなく、食欲が落ちていた場合、重大な病気が隠されているかもしれません。

牛の些細な変化に気づかずに見逃したら、病気を早期発見できず、最悪の場合は命を落とす危険性もあります。

他にも、機械のメンテナンスや施設の管理など、様々な作業においても、細かい部分まで気を配る必要があります。そのため、細かいことに目を向けられない方は、酪農家になるのは厳しいといえるでしょう。

忍耐強く取り組めない

物事に忍耐強く取り組めないことも、酪農業に向いていない方の特徴です。

酪農業は、牛の生活を中心としたスケジュールで進めていくので、自分のペースで進められる仕事ではありません。

搾乳は毎日決まった時間におこなわなければなりませんし、もし台風などで天候が悪くても休むことはできません。仕事の大半はルーティンワークではありますが、時に牛の体調が悪い時や悪天候に見舞われた時は、その状況に応じて冷静に仕事に取りかかる必要があります。

日々決まったルーティンワークだけを淡々とこなしたい方や、根気強く取り組めない方は、酪農の仕事は苦痛に感じるかもしれません。

まとめ

酪農は、ただ決められた仕事を淡々とこなすだけでなく、良質な生乳を搾れるように、常に牛のストレス・健康状態へ常に気を配る姿勢が求められます。

決して簡単な仕事ではありませんが、大切に育てた牛から美味しい牛乳を搾れて、売上へ繋げられる実感がもてたときは、大きな達成感と充実感を味わえるでしょう。

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