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若者が農業をしない理由とは?農業の課題や魅力・将来性への理解を深めよう

若者が農業をしない理由とは?農業の課題や魅力・将来性への理解を深めよう

皆さんは若者が農業をしない理由について、考えたことはありますか?

農業=若者に不人気という印象があるかもしれませんが、実際のところ、その理由を十分に理解している方はそう多くないでしょう。

本記事では、若者が農業をしない理由や農業界の課題、魅力・将来性を解説します。若者が農業をしない理由だけでなく、農業に秘められた可能性について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

若者が農業に興味がないのは本当?データを基に解説

若者が農業に興味がないのは本当?データを基に解説

「若者は農業に興味がない」という声を耳にすることがありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。結論から申し上げると、必ずしもそうとは言い切れません。

ここでは、データに基づき、若者の農業に対する関心の実態と、農業の未来について解説します。

10代~20代の約3割が農業に興味がある

「JA共済」がおこなった「農業に関する意識と実態調査」では、興味深い結果が示されています。この調査で、農業未経験者8,947人に「農業をやってみたいか」と尋ねたところ、全体の23.2%が「やってみたい」と回答しました。

※10代~50代の男女10,000人を対象に行われた農業に関する調査

特に注目すべきなのは、10代では28.5%、Z世代全体では26.9%と、若い世代ほどその割合が高い傾向にあった点です。

調査結果を見る限り、若者世代が農業に対して無関心ではなく、むしろ一定の関心を寄せている層が存在することが分かります。つまり、「若者は農業に全く興味がない」という見解は、実態とは少し異なると言えます。

45歳未満から農業を始める割合は増加傾向

若者の農業への関心は、実際の就農動向にも表れています。

農林水産省調べによると、令和5年3月末現在の認定新規就農者数は10,806経営体となり、前年と比べて248経営体ほど増加しました。さらに、農業を始めた45歳未満の数も、前年よりも増加しています。

※参考:認定新規就農者の認定状況(令和5年3月末現在)1ページ目|農林水産省

この結果を見ると、若者の中には”実際に農業の世界へ足を踏み入れることを考えている層”あるいは”既に行動に移している層”が着実に増えていることは明らかです。そのため、このデータからも、”農業に興味がない若者ばかりではない”ことが分かります。

若者がもっている農業に対するイメージ5選

若者がもっている農業に対するイメージ5選

先ほどは、若者の中には農業に興味を持っている方が一定数存在することを解説しました。

一方で、若者が農業に対して漠然とした不安やネガティブなイメージを抱いていることも事実です。農業への関心を持つ若者がいるからこそ、その厳しさや課題についてもしっかりと理解しておくことが大切です。

ここでは、若者が抱きがちな農業に対する主なイメージを5つ見ていきましょう。

①体力的な負担が大きい

農業は、作物の栽培や家畜の世話といった体を動かす作業が中心となるため、体力的な負担が大きい仕事です。天候によっては長時間労働になりがちで、腰の椎間板ヘルニアを発症したり、膝を痛めて人工関節を入れたりする農家の方も少なくありません。

また、夏の炎天下や冬の寒さの中での作業も日常茶飯事です。屋内の空調が効いた環境でデスクワークをする仕事と比較すると、体力的な大変さは否めないでしょう。

②異常気象の被害を受けやすい

農作物の生育は、気温や降水量といった天候条件に大きく左右されます。特に、トマトのような比較的高温に弱い夏野菜の栽培は、地球温暖化による夏の猛暑や酷暑の影響を受けやすいとされています。

また、台風や集中豪雨による水害、冬が暖冬傾向にあることによる害虫の越冬と翌春の大量発生など、異常気象によるリスクは年々増加傾向です。このような自然環境の変動による不安定さは、若者が農業に挑戦するハードルを上げる要因のひとつとなっています。

③収入が不安定になりやすい

農産物は市場価格の変動の影響を受けやすく、豊作の年には価格が下落し、不作の年には収穫量そのものが減るなど、収入が不安定になりがちです。

また、肥料や飼料、農薬、燃料などの生産資材価格が上昇しているのも大きな要因のひとつです。また、近年の農業は生産性を上げるために、自動化システムの設備投資なども進んでいます。AXやDX化にむけた初期費用が、経営を圧迫する要因になっています。

④農業を学べる環境があまり多くない

農業に関する専門知識やスキルを学べる学校や研修機関は、決して多くないのが現状です。もちろん、農業大学校や大学の農学部、地域の研修制度などは存在しますが、他の産業分野よりも絶対数は多くありません。

仮に「農業にチャレンジしたい」と思ったとしても、勉強できる場があまり多くないため、農業に挑戦するのをためらってしまう若者も少なくないかもしれません。一般的に、農業を始めるために資格などは必要ありませんが、十分な知識がないまま農業を始めることは現実的に難しいとされています。

そのため、農業を学べる環境があまり多くないのは、業界全体における課題と言えます。

⑤初期投資のために高額な費用が必要

農業を始めるときは、農地やトラクター、コンバインといった農業機械、ビニールハウスなどの設備を準備する必要があるので、多額の初期投資が必要となります。

農地の価格相場は地域によって大きく異なりますが、土地を買い取るか借りるとしても、まとまった資金が必要になります。

農業機械に関しては、高性能の場合は数百万から一千万円を超えるものもあり、導入費用は高額になりがちです。国や自治体の補助金、リース制度などを活用する選択肢もありますが、いずれにしても初期の資金計画は、イチから農業を始める方にとって大きなハードルの一つです。

イメージを覆す!若者へ伝えたい農業の魅力

イメージを覆す!若者へ伝えたい農業の魅力

さまざまな課題がある一方で、近年の農業は大きな変革期を迎えており、若者にとって魅力的な側面も数多く存在します。

旧来のイメージにとらわれず、新しい農業の可能性に目を向けてみましょう。一つひとつ解説します。

IT技術によるスマート農業が進んでいる

近年は、IT技術を活用した「スマート農業」が急速に進化しています。ドローンによる農薬散布や生育状況のモニタリング、AIを活用したデータ分析による最適な栽培管理、自動走行トラクターによる作業の省力化などが実用化されつつあります。

これにより、土壌や作物の状態をリアルタイムで精密に把握し、必要な水や肥料の量を最適化することで、資源の無駄遣いを防ぎ、コスト削減にも繋がります。経験や勘に頼る部分が多かった従来の農業に、科学的なアプローチを取り入れることで、作業効率の向上だけでなく、より高品質な農産物を安定的に供給するための有効な手法として期待されています。

農業の『6次産業化』で収益化が見込める

近年の農業は、農産物を生産するだけでなく、それを加工(2次産業)し、さらに販売(3次産業)までを一貫して手がける「6次産業化」による収益化が進んでいます。

例えば、自ら生産した果物でジャムやジュースを作って直売所で販売したり、規格外野菜を活用したレストランを開業したり、都市部の消費者向けに収穫体験や農業体験プログラムを提供したりするなど、経営の多角化を図る事例が増えています。

生産から消費までを繋げば、新たなビジネスチャンスを創出し、経営の安定化を図れます。

持続可能な農業によって社会貢献が果たせる

地球環境への配慮や生物多様性の保全といった、社会全体の課題解決に貢献できる点も、現代の農業における魅力のひとつです。

化学肥料や農薬の使用を減らす有機農業や特別栽培、温室効果ガスの排出削減に配慮した農法、地域の資源を循環させる取り組みなど、「サステナブル農業(持続可能な農業)」への関心が高まっています。

農業に挑戦すれば、食料を安定的に供給するという役割だけでなく、地球環境を守り、より良い社会を次世代に繋いでいくという社会貢献を実感できる可能性があります。農業の持つ可能性を信じて挑戦すれば、大きなやりがいをもって仕事に取り組めるかもしれません。

未来は拓ける!農業に興味がある若者へのアドバイス

未来は拓ける!農業に興味がある若者へのアドバイス

最後に、農業に興味がある若者へのアドバイスを3つ紹介します。

これからお伝えするポイントをふまえて、”若者が農業に挑戦するチャンスは十分にあること”を知っていただければと思います。具体的に解説します。

農業に対する固定観念を捨てる

まず大切なのは、「農業はきつい」「儲からない」「古い産業」といった従来の固定観念にとらわれず、柔軟な視点を持つことです。

前述したように、近年の農業はAIを使った業務効率化など、新たなビジネスチャンスを生み出せるチャンスがあります。また、ECサイトを活用した直接販売やSNS発信によるファンづくり、クラウドファンディングでの資金調達など、従来にはなかった方法で販路を開拓できる可能性も十分にあります。

農業に対する固定観念を捨てて、新しい発想で挑戦することが未来を切り拓く鍵となるでしょう。

農業の仕事内容への理解を深める

「農業」と一言で言っても、その仕事内容は多岐にわたります。米や野菜を作る耕種農業、牛や豚、鶏などを育てる畜産、花や苗を栽培する園芸など、分野によって作業内容や求められる知識・スキルは大きく異なります。

まずは「農業=大変」というイメージを一旦脇に置き、具体的にどのような仕事があるのかを調べ、自分はどんな分野に興味があり、どのような働き方をしたいのかを考えることが大切です。自分に合った分野やスタイルを見つければ、長く農業を続けるための第一歩を踏めるでしょう。

農業界との協力体制を強化する

農業を成功させる秘訣は、地域や他の農業者との繋がりを大切にすることです。自治体が提供する就農支援制度を活用したり、ベテラン農家さんから栽培技術や経営についてアドバイスを受けたり、同じように新規就農を目指す仲間同士で情報交換をおこなったりすることが大切です。

積極的にコミュニケーションを図り、協力体制を築けば、仕事を上手く進めるためのヒントを見つけられる可能性が上がります。実際に、近年は若手農業者と就農希望者の交流を目的としたイベントなども各地で開催されています。

農業に挑戦するときは、このような機会を活用して、人との結びつきを深めていくことをおすすめします。

まとめ

本記事を通じて、必ずしも「若者は農業に興味がない」と言い切れないのがお分かりいただけたでしょうか。データが示すように、若い世代の中にも農業に関心を寄せる層は一定数存在します。

確かに、体力的な負担や収入の不安定さ、初期投資の大きさといった課題は存在しますが、スマート農業の進展や6次産業化などを通じて、乗り越えられる可能性も十分にあります。

大切なのは、固定観念にとらわれず、多様化・進化する農業のリアルな姿を知ることです。そして、自分に合った働き方を見つけ、地域や仲間との繋がりを大切にしながら、新しい発想で挑戦していくことではないでしょうか。

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