観光牧場とは｜仕事内容や将来性について理解を深めよう

「観光牧場とはどんな牧場？」
「観光牧場に関わるのはどんな仕事？」

観光牧場について、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、観光牧場の概要や仕事内容、課題点、将来性について解説します。

観光牧場に興味があってより理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

観光牧場とは

観光牧場とは、観光客に対して搾乳体験などのサービスを提供する牧場のことです。従来の畜産牧場とは異なり、動物や自然と触れ合える体験型の施設です。

例えば、牧羊犬によるショーや乳しぼり体験、乗馬といったアクティビティだけではなく、搾りたてミルクを使用したソフトクリームやスイーツを味わえます。

また、観光牧場は観光客からの収入を主な経営基盤としており、地域の観光資源としても重要な役割を果たしています。動物とのふれあいや自然豊かな環境が魅力となり、大人から子どもまで幅広い世代に愛されています。

公共牧場とは

公共牧場とは、地方公共団体や農協、畜産公社、牧野組合などの出資によって設立された牧場のことです。主に畜産農家が飼養する乳用牛や肉用牛を一定期間預かり、放牧や飼養管理をおこないます。

公共牧場が作られた主な目的は、畜産農家の負担の軽減です。例えば、近くに公共牧場があれば、農家の繁忙期や家族の事情によって家畜の世話が困難となったときに公共機関の支援によって家畜を一時的に預けられます。

近年、国内の畜産業は飼料価格の高騰や後継者不足などの要因で厳しさを増しています。そのような背景から、公共牧場には家畜生産の省力化やコストの削減だけでなく、事業規模の拡大によって、業界全体を活性化させる役割もあります。

観光牧場の課題点

続いて、観光牧場の課題について解説します。具体的には以下のとおりです。

・差別化が難しい
・インフラ整備が急務
・動物のストレスをどうするか

具体的にどのような課題があるのかについて、一つひとつ解説します。

差別化が難しい

観光牧場はレジャースポットとして多くの人々に親しまれていますが、提供されるサービスが似通ってしまうことが課題です。観光牧場では動物とのふれあいや乳しぼり体験、ソフトクリーム販売といった定番のアクティビティが主流なので、競合との差別化がどうしても難しくなっています。

差別化を図るためには、その観光牧場でしか体験できない独自のコンテンツをつくることが重要です。例えば、牧場の立地条件や周囲の自然環境を活かしたアトラクションを用意すれば、他の観光牧場では味わえない楽しさを打ち出せます。

独自性を出せれば、集客につながりリピーターの獲得にもつながるので、長期的に安定した経営が可能となるでしょう。

インフラ整備が急務

近年は、インバウンド観光客の増加やニューツーリズムの流行により、観光牧場への客足が伸びています。しかし、訪問者の増加に対応するためのインフラ整備が追いついていない観光牧場も少なくありません。

例えば、大型観光バスを誘致したくても駐車場やアクセス道路の整備が不十分で対応が難しい場合もあり、計画を先延ばしにするケースが見られます。

また、牧場の出入口付近の拡張や交通整備は行政との連携が必要なので、牧場単体では実現が難しい可能性があります。観光牧場の集客力を高めるためには、地域全体で観光誘致の計画を立て、行政や地元住民と協力した上でインフラ整備を進める必要があります。

動物のストレスをどうするか

観光牧場にいる動物は、多くの観光客に触れられたり見られたりする機会が多いので、大きなストレスを抱えることがあります。特に乳牛は乳しぼり体験などがストレスの原因となり、乳房炎と呼ばれる病気を発症しやすい傾向です。

また、小動物であるモルモットやウサギは、極度のストレスを感じると命を落としてしまう場合があります。観光牧場に訪れる観光客は動物との触れ合いで癒される一方で、動物は強いストレスを感じているということを忘れてはなりません。

動物の健康状態の徹底的な管理が、観光牧場運営において重要な課題です。今後は、動物の安全性を考慮した環境作りや適切な飼養管理がますます求められるでしょう。

観光牧場の仕事

次に、観光牧場における仕事を3つのカテゴリーに分けて紹介します。

・動物の世話・収穫・出荷作業
・飲食・販売スタッフ
・ガイド・インストラクター

いずれも観光牧場を支える重要な仕事ですので、一つひとつ理解を深めていきましょう。

動物の世話・収穫・出荷作業

観光牧場において、動物の世話や収穫、出荷は重要な仕事のひとつです。日々の作業では、餌やりや飼育施設の清掃、乳しぼり、毛刈りなどをおこないます。

しかし、これらのルーティンワークだけではなく、動物の健康状態の入念なチェックも欠かせません。特に観光牧場の動物は多くの観光客に接する機会が多いので、ストレスを感じやすい傾向です。

また、収穫や出荷のタイミングを見極めるための観察力や計画性も必要な能力のひとつです。動物の安全と健康を守りつつ、観光客に楽しんでもらうことが大切な役割と言えます。

飲食・販売スタッフ

観光牧場では、レストランやカフェ、おみやげショップなどで飲食・販売スタッフが働いています。この仕事は一般的な販売や接客と似ていますが、観光牧場ならではのスキルが重要です。

多くの場合、販売する商品や提供するメニューの多くが牧場の動物や生産物にちなんでいるので、お客様から動物の名前や特徴について質問される場合があります。飼育している動物に関する知識を持ち、適切に答えられる対応力が必要です。

レストランやカフェでは搾りたてのミルクや産みたての卵を使った新鮮なメニューが人気で、これらを通じて牧場ならではの食の魅力を伝えることが可能です。

ガイド・インストラクター

観光牧場では乗馬や乳しぼり体験、ヨーグルトの手作り体験など、さまざまな体験型アトラクションが設けられています。お客様にこれらの体験を楽しんでもらうために、ガイドやインストラクターの役割は重要です。丁寧で分かりやすい説明を心がければ、お客様は安全かつ楽しい時間を過ごせます。

特に乗馬のインストラクターには専門的な知識や技術が必要であり、一部の観光牧場では働きながら資格を取得できる体制を整えています。

また、お客様に動物や牧場に関して詳しく解説し、観光牧場の魅力をより理解してもらうのも仕事のひとつです。ガイド・インストラクターは、観光牧場の魅力を広める重要な仕事と言えます。

観光牧場における将来性

観光牧場は動物と触れ合いたい観光客にとって非常に魅力的です。しかし、観光牧場はあくまで牧場の経営方法の一部であり、本来の役割を忘れてはなりません。

観光部門に特化しすぎると家畜がペットのような存在に見なされて、生産物の生産という牧場本来の目的が薄れてしまう可能性があります。このような状況は観光収入への過度な依存を招き、経営上のリスクとなるでしょう。

近年、アウトドアライフや自然志向が観光トレンドとして高まりを見せており、観光牧場においても「本物の自然」を求めるニーズが増えています。家畜をペットのように扱うのではなく、自然と調和しながら健康に役立つ農産物を生産する姿勢が重要です。

牧場の生産活動を観光客に伝えて地域や環境とのつながりを強調すれば、観光客の満足度を上げられるでしょう。観光牧場の未来は観光と生産のバランスを保ち、自然を大切にする姿勢にかかっています。

まとめ

観光牧場の仕事は、自然豊かな環境の中で観光客に自然や動物たちに触れてもらうことで、癒しや活力を与える仕事です。しかし、自然や動物たちを相手にするので大変な仕事であるのも事実です。自分がどんな働き方を選びたいのかを十分に見極め、牧場の仕事を始めるかを決めましょう。